キャリアについて考えてみる【素直に向き合う編】

新卒学生のキャリア選びの相談をよく受けるのですが、本当にやりたいことを見つけられている学生というのはそこまで多くないなという印象があります。私は会社のインターンシップや採用関連、また個人での繋がりも含めると数千人の学生とお話をしてきましたが、やりたいことが明確に定まらないケースが多いと思います。

結論から言うと、「やりたいことに素直に向き合えない」にさせる外的要因があまりにも多すぎて翻弄されている学生さんが多いです。

目次

外的要因は人間の欲を突き動かす

外的要因とは、お金(給料・ボーナス)、有給休暇日数、企業に属している人、勤務地などのことであり、「本当にやりたいこと」を考える上で、それを「妥協させる要因」と今回は定義します。現に今就職活動などで悩まれている方、また転職を考えている方も含めてですが、「本当にやりたいこと」だけを考えて職を決めようと思えている人が何人いるでしょうか?

<実体験とメッセージ>
もちろん外的要因を全て無視して、就職活動を進めると言うのは至難の業だと思います。実際私も新卒学生の時、お金と有給休暇と自由時間についてたくさん考えましたから、できていなかったと思います。しかし、今から就職する人や転職する人には失敗して欲しくないです!是非とも「自分と本気で向き合う」ことに挑戦し本当にやりたいことを職にして欲しいなと思います。

本当はエンジニア。でも本命はコンサルティング・・・

本ケースに当てはまる学生とのやり取りの具体例を紹介します。

Aさんと出会ったのは数年前。とても優秀な方で、学生でありながらスタートアップで長期インターンシップをしており、最前線でAIエンジニアとして活躍していた。そのスタートアップのCTOからも「絶対に手放すことができない存在だ」と言わせるほど、エンジニアスキルには長けていた。しかし、彼も大学院1年生。博士課程に進む気はないと言うことで就職活動を始めたのだが、彼はエンジニア以外の職業を調べた時に衝撃が走ったと言う。

「コンサルティングの給料高いじゃん・・・!」

当然コンサルティングの給料が高いということは知っていたものの、エンジニアにしか興味がなかったため、過去に調べたことはあまりなかったという。でも、自分が就活生と言う立場になり、真面目に調べてみたところ、「何だこれ・・・」と思ったそうだ。
また、何だこれと思った理由にはもう一つ要因があった。

エンジニアと比較して、給料が高いじゃん」

コンサルティング業界を少し斜に構えてみていたこともあり衝撃が大きかったのだと思う。Aさんは、「なんで何も生み出せないやつがこんなに給料をもらえるのかと思う」ということを私に言っていたし、エンジニアはもっと給料をもらうべきだという先入観が強かった。

しかしその後、彼の気持ちは大きく揺れ動いてしまう。
私との3回目の個別面談の時、彼は私にいきなり言ったのだ。

「コンサルティング業界を第一志望にしようと思います。」

私はあの時の衝撃を今でも忘れられない。なぜ、あんなにAIを開発している時は時間を忘れて夢中になれる人がいきなり何もバックグラウンドがなく、批判していたコンサルティング業界にいきたいと言ったのか、と。

その打ち合わせでは彼の正直な気持ちを聞き出すことはできなかった。出てくる理由は「両親を安心させるために」とか、「エンジニアに関してやり尽くしたので今度はコンサル業界に行ってみたい」のような今まで一度も口にしたことがなかったようなことばかりだった。あたかも「自己分析をした結果、そうなった」とでも言っているかのようであったが、私はそうは思えなかった。このままでは新卒の就職活動に失敗するなとさえ感じた。

その後、もう一度話したいと思い、数日後、Aさんとミーティングをする約束をした。その時に、

「一度コンサルティング業界のインターンシップに行くといいよ。それで心から楽しいと思ったら、Aさんの天職だと思うよ」

と伝えた。彼はその時、本命だと考えていたこともあり、コンサルティング業界のインターンシップに、エンジニアの長期インターンシップを一時中断してまで参加した。

インターン参加後、彼は私に言ったことはこうだ。
「コンサルティングも楽しかった。でも時間を忘れられるほどではないし、長く続けられる気はしない。それに、私はエンジニアをやっていた方が、同じ時間を働いたとしても身に付くスキルの量が違うと思う。だって、断然好奇心が湧くのはエンジニア業務だから。」

彼は直感的に、短期的な収入よりも、長期的に自分を成長させた方が、後々良い状況になると言うことを理解して帰ってきたのである。その後、彼はコンサルティング業界のことを悪く言うことも無くなったし、コンサルティング業界にいきたいとも一才言わなくなった。むしろコンサルティング業界で働いている人とは友達になり情報交換をしたいと言うようになった。

その後、彼は大手IT企業に就職し、AIエンジニアとして2年間働いたのち、現在はフリーランスとして働いており、複数の企業とAI開発をしているそうだ。

彼は今でも、あの時の決断がなければ今の自分はないと言っているし、「今人生が最高に楽しい」と言っていた。

この具体例から言いたいことは、「コンサルティング業界に行くな!」と言うことでは断じてありません。言いたいことは、自分のやりたいことを見誤るなと言うことなのです。「自分のことは自分がよく知っている」とよく言われますが、意外と分かってないことがたくさんあると思います。Aさんも年収という一つの餌に釣られて自分を見失ってしまったのです。自分の本当にやりたいことを見つけることは難しいことですが、相談相手や自己分析を手伝ってくれる友達、子供の頃を知っている友人等、自分のことを客観視してくれる人間と一度お話をしてみることで、我に帰ることができるケースが多くあると思います。

現に、私も何千人と学生と話しましたが、「自分を見失っていました。」と言われた経験は少なくないです。世の中には誘惑がたくさんあるので、それを断ち切るためにいろんな人に助けを求めた方がこれからの人生決定において有利に働くのは間違いないと思います。

自分の「好きなこと」を仕事にした方が良いと言う理由について

結論から言うと、スキルの伸び方に大きな差が出てしまうからです。
短期的に考えれば、年収の高い会社に勤めた方がお金も稼げますし、休みの多い会社に勤めた方が人生が豊かになるでしょうし、いいことがたくさんあるように思えます。

しかし、10年程度働いた側から見てみると、「好きなこと」を仕事にしている人はスキルも大幅に伸びているし、何より人生が楽しそうです。私の会社の中を見ていても思うのですが、モチベーションを持って好きなことをやり続けている人はとてもキラキラしていてます。また、「好きなこと」を仕事にしている人の中では、スキルが成熟し、副業などにも手を伸ばしている人もいて、本業よりも稼いでる人がいたります笑

受験でわかる、「好きなこと」しか伸びない理由

大学受験を想像するとわかると思うのですが、全ての教科が得意でしたという人の方が稀だと思いませんか?自分が好きでないこと・興味がないことは勉強が捗らないから教科によってムラができるのです。社会人になったら英語・数学・国語・理科・社会で戦いなさいと言われることは絶対ありません。むしろ学生時代のケースが稀です。そのため、嫌いなことをやる必要はもうないのです。1つで良いので、好きなことを見つけて、それを優先して伸ばしていくことが大切なのです。だからこそ、まずは自分の「好き」に正直になり、人よりも大きく成長できそうなフィールドに身を置いてください。そして数年後、スキルをつけて、外的要因という名の「欲求」を叶えていくというプランが新卒社会人の戦略としてはとても良いのではないか?と思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都大学工学部電気電子工学科を卒業・京都大学工学研究科電気工学専攻を修了。大手通信企業に入社しSE・サービス開発・新卒採用を経験。企業のインターンシップの仕組みを抜本的に改革し、”学生が成長できる”インターンシップへ。米国でMBAを取得。帰国後はグローバルビジネスの戦略立案に従事。大手通信業界で働きながら、副業として2025年に株式会社SideWideを設立。コンサルティング業務・マーケティング業務に従事。

目次